はじめに
今年3月に2回にわたってご紹介した近鉄通勤型の化粧板収集記事。近鉄は車両数が多い割にバリエーションが少ないように見えますが、実は多彩な化粧板の仕様が存在することをご紹介しました。
今回はその補完編として、「ドア上鴨居部に設置された車内案内表示装置の化粧板」ばかりを集めてみました。非常にピンポイントな化粧板ですが、実は壁や天井とは異なる複数の仕様が存在するのです。ぜひ前回記事と合わせてお楽しみください。
近鉄通勤型 車内案内装置の化粧板コレクション
その1:5000系列に見られるもの
記憶する限りはじめてLED車内案内装置が設置されたのは5800系の増備車だったように思います。細長くて小さいLEDが鴨居部全体ごと専用筐体で設置され、合わせてドアチャイムが鳴動するようになりました。この5800系と5200系では、壁面の色違いのような「ベージュ砂目柄の化粧板」がLED上部の広告周りに張られています。
その2:改造設置のアルミボディVVVF系列に見られるもの
その後、ワンマン改造された1021系や6432系などから順に、一部のアルミボディVVVF制御車にLED車内案内装置の設置が進められましたが、この時設置されたものは、5000系列と筐体は同じながら、よく見るとベージュの化粧板が砂柄ではなく、和紙のようなベージュの柄に変化しています。このタイプが一番多く見かけるように思います。サンドウェーブ柄との組み合わせで一層違和感があります。
その3:改造でLCDモニタが設置された車両に見られるもの
さて、最近になってLEDが設置されていない各線のVVVF制御車に対して、大型の液晶モニタを千鳥配置で搭載した車両が登場しています。非常に大きく張り出した筐体が特徴で、1基搭載、2基搭載準備の筐体が確認されています。この部分の化粧板は最近の更新車にもみられるアイボリー無地の化粧板。非常にシンプルに仕上げられました。急速に数を増やしています。
その4:鴨居部流用型のもの
こちらは鴨居部の枠、板構造をそのままに、広告枠の下部に窓がくり抜かれてLED案内装置が設置されたタイプです。この構造は確認できている限り、3200系と7000系の更新車に見られるものです。化粧板は壁面と同じグレー砂目系となっています。もっともシンプルな仕様です。
その5:シリーズ21の鴨居部に見られるもの
まずはこちら。大胆にも鴨居から天井にかけてストライプのエンボス加工が施されたパネルを採用したデザインが、初期のシリーズ21共通の特徴でした。厳密には化粧板仕上げとは異なる仕様ですが、こちらでご紹介しておきたいと思います。改造系列とはLED案内装置の形も異なっていますね。
一方、蛍光灯のカバーが廃止された際にシリーズ21は屋根周りの大幅な設計変更が実施され、鴨居部はパネル構造ではなく一般的な張り出し型に戻っています。化粧板はシンプルに屋根部と同じ無地のグレー系となりました。LEDの位置やドアコックの位置など含めて、初期車と微妙な差が見られます。
最後にシリーズ21の例外、近鉄けいはんな線の7020系電車の鴨居部をご紹介します。こちらは改造7000系と合わせて、壁面と同じグレー砂目系の化粧板仕上げとなっており、LED案内装置の窓形状も丸みを帯びた、他のシリーズ21とは異なるものになっています。ただ、ドアコックは個別にドア上に設置されているのはシリーズ21に共通しており、7000系との相違点になります。
終わりに
今回で、近鉄通勤型の化粧板コレクションは最終回となります。令和3年現在の近鉄電車の記録として残したいと思い、記事にしました。なかなか化粧板をピックアップする資料を見かける機会は少ないと思いますので、何かの一助になれば幸いです。
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