はじめに
近鉄の通勤型車両はものすごく形式数が多く、かなりの両数が存在します。ところが、世代的には大きく4つ程度のグループ分けが可能です。1つが抵抗制御車グループ、次にチョッパ制御車グループ、そしてVVVFインバータ制御グループ、最後にシリーズ21グループです。
さらにこれらの車両は多くが経年車で、1~2回程度の更新工事を受けています。近鉄では更新工事を受けるたびに車内インテリアが時代に合ったものに更新されてきました。
そこで今回は、「近鉄通勤型の化粧板」を世代ごとにご紹介する記事を作成しました!バリエーションが豊富なので2回に分けてご紹介しようと思っています。きわめてニッチなテーマですが、お楽しみいただけましたら幸いです。
近鉄通勤型 化粧板コレクション
第1グループ:~1982年までの標準車内
まずご紹介するのは、すでに近鉄本体では見ることができなくなった「木目調化粧板」のグループです。阪急などと比べると落ち着きのある淡い色で、南海よりも白に近い印象でした。天井部は石目のような柄が全体に行きわたっています。
この世代は高性能通勤車と呼ばれる丸屋根車両で、その後チョッパ制御車の1400系、8810系、1200系のうち側面方向幕を装備しないグループまでに採用されました。かつての近鉄電車は関西では多く見られた「木目色の車内」の電車だったのです。40歳代~ぐらいの近鉄ユーザーの方であれば、懐かしいと思われるのでは?
実は、生き残りもあった
この木目調デザインは、A更新工事が8810系や1400系などに実施されたタイミングで消滅したのですが、実は2430系や1000系の一部車両では、A更新時に化粧板をサンドウェーブ柄に張り替えた際、なぜかエアコン本体のみ旧化粧板のまま存置されていた車両がいました。
【番外】今でも見られる木目調
上記でご紹介した木目調化粧板は、実は「三岐鉄道北勢線」の270系電車に残っています。この車両は元近鉄車で、まさに70年代の末ごろ、本線と同じカラースキームで導入されました。その化粧板が今でも残っているはずです。
またこれとは別に、令和となった現代に近鉄系列で見られる木目調をご紹介です。
1つは特急車。特急車では積極的に木目調の化粧板が装飾目的で採用されており、たとえばビスタEXの後期B更新車では上記のような濃い木目を見ることができます。
もうひとつは、元近鉄のナローゲージ車、四日市あすなろう鉄道260系です。原形をほぼ留めないレベルのフルリニューアルが施された際、内装は大変明るい色調の木目が採用されました。
第2グループ:サンドウェーブ柄とこもれび柄
近鉄でもっともポピュラーなベージュ系の化粧板が、この世代です。「サンドウェーブ柄、こもれび柄」という名称は鉄道書籍で紹介された名称です。最初に採用されたのは、9200系などチョッパ制御車のうち、側面方向幕を装備して誕生したグループだと思われます。その後1251系などに採用され、以降1253系インバータ車の最終増備車まで採用され続けました。また、1983年以降に冷房改造や更新工事を受けた抵抗制御車でもおなじみの内装です。
抵抗制御、チョッパ制御車ではB更新時にこの化粧板が交換された車両も多く存在しますが、VVVF制御車は3200系、5000系列をのぞく汎用形式のすべてがこの化粧板のまま残っています。
第3グループ:懐かしのナローゲージ車化粧板
今は見ることができない内装の一つ、ナローゲージ系列の80年代化粧板がこちらです。直前に登場した270系は前述の通り、本線と同じ木目で登場しましたが、80年代に入って誕生した内部・八王子線の260系でこの化粧板が採用されました。色目は本線同様ベージュ系ですが、サンドウェーブ柄ではなく、ランダムな造形の白い正方形がずらりと並んだ細かな模様で、京阪電車や大阪市交通局の車両を連想させます。本線系統の通勤型では見たことのない柄でしたが、前述の通り260系リニューアルが実施されており、交換されたり廃車となりました。
終わりに
今回ご紹介したのは、近鉄の中でも比較的古い80年代のデザインでした。サンドウェーブ柄は本当にロングセラーで、令和となった今でも当たり前のように見かける、近鉄の象徴のような化粧板です。また、化粧板デザインと連動して、禁煙プレートやドアコック蓋のデザインも変化している様子がご覧いただけたかと思います。
次回は、L/Cカー以降に誕生した内装デザインをご紹介したいと思います!
後編はこちら!
その他
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