はじめに
前回に引き続き、魅惑の近鉄通勤型車両、その車内を彩る化粧板に関する特集をご紹介したいと思います。
前回は以下のリンクからご覧ください。昭和~平成前半の内装をご紹介しています。
そして今回はその後編!L/Cカーの誕生、シリーズ21、そしてB更新と、平成後期から令和にかけて誕生した通勤型車両に見られる化粧板をピックアップしたいと思います。
近鉄通勤型 化粧板コレクション
第4グループ:L/Cカー、シリーズ21、そしてB更新(~2015年)
1996年に誕生した2610系A更新時のL/Cカーから、この「グレー系化粧板」が誕生しました。壁面・床面とも砂目模様となり、当時の灰色のモケットと相まってモノトーンで近代的な印象に。その後の5800系にも同様のデザインが取り入れられました。
またB更新においても更新途中からグレー系化粧板が採用されるようになり、このデザインは一気に広がりました。2015年ごろまで、約20年ほどこのデザインが近鉄の基本的なカラースキームとして採用されたこととなります。
また2000年代から誕生した新造車両、シリーズ21においても同様の化粧板が採用されています。ドア上の鴨居部分は白色です。天井は当初パネル加工でしたが、シリーズ21の後期車では白無地の化粧板に変更されています。
シリーズ21の例外、7020系も化粧板のデザイン等は同様。ドア上は壁面と同じグレー系になっていますね。
発見してしまった例外…
近鉄の急行型車両5200系。この形式も2007年から更新工事がはじまり、当時のシリーズ21に準じたグレー系化粧板が採用されました。
ところが、今回取材にあたって化粧板の写真を撮影していると、あることに気づきました。
なんと、天井の化粧板が白色無地系のデザインではなく、旧来のサンドウェーブ柄の相方だった、通称「こもれび柄」の化粧板のままなのです。交換されていない、ということなのでしょうか…?
第5グループ:2015年末~令和現在のB更新車
これには本当に驚きました。2015年の末ごろ、2610系最後のB更新出場編成となったX27編成が、突然これまでのイメージを覆す全く新しいモノトーンデザインで現れたのです。壁面は白系となり、ドア・袖仕切り・妻面には真っ黒なデザインの化粧板を採用。床面はザラメの茶色から黒へのグラデーションデザインで、座席モケットはグレーにドット柄と黒のアクセント。新車よりも近代的になったその車内には本当に驚かされました。外観が外観だけに。
この世代は化粧板の種類が豊富です。じっくり見てみましょう。
まずは壁面。過去一番、白に近い壁面デコラはよくみるとうっすらとドットに近い模様が並んでいます。かなり細かいので本当に気づかないレベルのアクセントです。
続いて天井部。こちらはほぼ前世代とおなじ、白無地系の化粧板になっています。
一番印象に大きな影響を与えているのが妻面。大胆にも黒色系の化粧板です。模様の名前がわからないのですが、石の断面のような模様がかかっているのが特徴ですね。この世代のB更新車では、壁面に消火器を埋め込まれ妻窓が閉鎖された車両もいるので、特に目立つ差異となっています。
最後にドアと袖仕切りの化粧板。ご丁寧に、同じ黒色ながら妻面とは異なり木目のような横にストライプの入ったデザインの化粧板が採用されました。
といった具合に、パーツごとに異なる配色を取り入れる、平成終盤~令和の流行とも言える手法が取り入れられています。新造車両が存在しないだけに、新車よりも新車っぽい車内として、徐々に各線区へ増加しつづけています。
終わりに
近鉄通勤型の化粧板の変遷、いかがでしたでしょうか?
近鉄は物持ちがよく、通勤型車両については60年の経年が更新の目途とのこと。外見が変わらないだけに、一見すると何十年たっても変化がない車両に見えますが、車内はしっかりと変化し続けているのが大変面白いポイントです。
特集としては2回構成ですが、後日どこかで「補完編」として、ドア上や袖仕切りの化粧板に触れたいと思っています。その時までお楽しみに。
その他
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