はじめに
鉄道車両の寿命は一般的に30~40年とされることが多く、鉄道会社によって短寿命で新型に置き換えるケースもあれば、古い車両をリニューアルし長く使うこともあります。コストや省エネなどさまざまな思惑が会社ごとに異なることで対応はさまざまですが、リニューアルされる際は時代に応じた設備が追加・更新されることが多く見られます。
そこで本特集では、車内リニューアルの前後を並べてみました。それぞれのリニューアルポイントや度合いなどを見比べてみたいと思います。第1回は関東・関西から6種類の車両をご用意しました。
車内リニューアルBefore & After
JR西日本115系
車内リニューアルの代表的会社ともいえるJR西日本。古くからN工事などと呼ばれる更新工事が施工されてきましたが、90年代後半から体質改善工事と呼ばれる大規模な内装リニューアルが実施されました。上記に挙げた115系の場合は30年の寿命を想定した30N工事と呼ばれるパターンで、窓枠やドアなどはそのままですが、化粧板の張り替えや座席の転換クロス化、貫通ドア交換、幕板部の形状変更による平天井風デザイン化などかなり変化点が見られます。ドアも半自動ボタン化されています。
京王7000系
関東圏は車両寿命の短い会社が多い印象ですが、京王7000系は大きなインテリア変更が実施されました。座席は紫色のバケットシートになり、床は異なるツートンカラー化されました。また、流行の大型袖仕切り化や座席間へのスタンションポール設置が行われています。ドア上にはLEDやLCDディスプレイなどの案内装置が設置され、車いすスペースも設備されています。また時期によって、写真の車両のようにLED照明化されエネルギー削減や照度向上が図られました。
近鉄1400系
今回の例は「1回目の更新」と「2回目の更新」の比較という珍しい例です。1400系は当初木目調の化粧板を装備して登場しましたが、1回目の更新時に化粧板のベージュ化とドアのガラス変更が実施されています。ところが再度リニューアル工事が実施され、1回目より大きな変化が生じています。白色系化粧板にグレーの座席、茶色系の模様が入った床、黒いドア・妻面というインパクトの強いクールなデザインに変更。カーテンも2色が用いられています。またポール追加なども行われています。
新京成8800形
新京成8800形車両。VVVFインバータ制御を比較的黎明期に採用した車両で、昭和末期ならではのデザインが特徴の車両でしたが、順次リニューアル工事を実施されています。流行の大型袖仕切りに加え、ピンクとブラウンの座席、グレーの鴨居部、小型LCDディスプレイ、スタンションポール設置などかなり大きくリニューアルされました。床も赤色系に変更されています。また、優先席は袖仕切り、座席とも青色系になっているのも近年多くみられるデザイン傾向です。吊革も三角になりました。
Osaka Metro21系
御堂筋線で活躍する新20系21系の例です。OsakaMetroではある時期からリニューアル時に大規模なデザイン変更が行われるようになりましたが、写真の車両はさらにデザインが変化したパターンです。基本的な造形は踏襲していますが、ポール類はいずれも交換されています。座席はバケットシート化され、床に加えて、客用ドアや貫通ドアの化粧板も変化しました。また天井照明のLED化や案内表示のLCDディスプレイ化など時代に応じた設備への変更も行われています。
東京メトロ9000系
最後は首都圏サイドの地下鉄車両例をご紹介。南北線の9000系はアクリル造形の袖仕切りや車端部のボックスシートなど、平成時代前後に見られた試行錯誤が色々見られる面白い車両でしたが、リニューアルで近代的な設備に変化。袖仕切りは半蔵門線などでも見られる大型仕切りで、床は路線色となる緑色系に変化しています。また、特徴的だったボックスシートも廃止されています。ドア上にはLCDディスプレイを設備。一方でユニークな座席下デザインは残されています。
終わりに
いかがでしたでしょうか?リニューアルの方策やデザインは各社さまざまですが、一方で設備単位で見ると、バリアフリーや安全面など、時代に応えるものは共通してみられる傾向にあります。近代的な設備をそろえることで引き続き利用される方に親しまれながら、車両が活躍してくれるのはとても嬉しく思います。まだまだリニューアル例はありますので、次回をご期待ください。
次回はこちら
その他
こちらの鉄道情報サイトに参加しています
よろしければ1日1回、クリックしていただけましたら幸いです。