はじめに
日本におけるインテリアデザインではもっともポピュラーな材質である、木材。難燃性が求められる鉄道では木材自体が使用される機会は戦後少なかったなか、デザインの流行に応じて、「木目調」と呼ばれる木の目を再現した化粧板がしばしば採用されてきました。
そこで今回は、鉄道車内デザインのなかから木目調の化粧板をランダムにピックアップしました。一言に木目といっても、目の色合い・種類・方向など様々で、それらが個性を引き立てます。木目の織り成す魅力をぜひお楽しみください。
木目調化粧板コレクション
その1…阪急8300系
マホガニーと呼ばれる木目の化粧板を古くから全面に採用してきたのが阪急電車で、マルーン色の外観と相まってもはや阪急の代名詞ともいえます。天井部は白色で明るい印象に仕上がっています。8000系列では従来車に比べて一段と濃いマホガニーが採用されたのがポイントです。
その2…福岡市地下鉄1000系
板目の柄がよくわかる、濃い茶色の化粧板が妻部に採用された地下鉄車両です。80年代にはテレビなど家庭でも同様の木目調が積極的に採用されており、流行を取り入れたのかもしれません。艶があるチーク調の木目は何年たっても美しさを感じます。
その3…JR西日本117系
国鉄時代に西日本と東海に導入された2ドア転換クロスシートの新快速電車です。木目調の化粧板に限らず、フラットな天井と蛍光灯カバーからも設計者の本気がうかがえる大変美しい車両ですが、2ドアが課題となりJR化後は順次都市部に姿を魅せなくなりました。家具調の木目はやはり重厚感と高級感があります。
その4…名鉄1000系
一度リニューアルされており大変美しい内装の名鉄「パノラマスーパー」。妻面にはほぼ黒に近いシックな木目の化粧板が採用されています。近くで見ると美しい柾目が縦方向に並んでいます。小型テーブルなども同様の色調でまとめられました。
その5…JR東日本E657系
名鉄1000系と同様、平成後期に採用された木目化粧板は柾目が採用されているケースが非常に多いのですが、JR東日本のひたち・ときわ号ことE657系では、柾目が横方向に走っているのが面白いところです。色合いはダークカラーですが、温かみも残した色調です。
その6…名鉄6800系
昭和の家具調スタイルの採用例として著名な名鉄の通勤型車両です。板目の化粧板は国鉄の117系などと類似しますが、名鉄のほうが赤色に近い色調となっています。またドアは白の化粧板となっておりデザイン上のアクセントとなっています。
その7…西武40000系
ベーシックな柾目ホワイトオークの化粧板が妻部に導入された西武40000系です。ガラスの貫通ドアとともに上品さと新しさを両立した妻面デザインに仕上がっています。目の方向はE657系と同様、横向きでシャープな印象を構築しています。
その8…四日市あすなろう鉄道260系
壁面化粧板ほぼ全体で見ることができる木目調です。こちらはナローゲージの車両で、狭い車内を明るく見せる工夫の一つとして柾目のオーク系木目が取り入れられました。目の方向は縦方向なのは少しでも天井の低さを感じさせない工夫でしょうか。美しい同車はローレル賞も受賞しています。
その9…泉北高速鉄道12000系
近年新製された車両としてはめずらしく、板目で荒々しい木目調が採用された例が泉北ライナー専用の特急車、12000系です。同じ柄ながら濃淡2色のダーク系カラーで妻面をシックにまとめ、対称的に明るい化粧板や天井部、座席を際立てます。派手なデッキとのギャップも同系の面白さですね。
その10…東京メトロ1000系特別仕様車
最後は東京メトロ銀座線に導入された1000系のうち、開業時の車両を模した特別仕様を採用した編成です。金属パーツを真鍮色に塗装した徹底ぶりで、当然のように壁面も木目調ですが、採用されている柄は柾目となっており、あまり木目の荒さは感じさせず上品な仕上がりにまとまりました。
終わりに
木目調コレクション、いかがでしたでしょうか?時代を反映していたり、アクセントに使用していたり、目的は様々なあります。また柾目と木目など、流行もあり、よくよく観察すると非常に興味深いのが木目の世界です。ぜひ電車に乗った際は、木目が取り入れられているか、どのように使用されているのかを少し注目してみると発見があるかもしれません。
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