【第1回】美しき座席モケットの世界【Moquette Collection】

美しき座席モケットの世界 その他

はじめに

新コーナー続々はじめます!

通常2週間に1回程度のペースで座席モケットを紹介していますが、今回はその特集コンテンツです。鉄道車両にまつわるデザインの中でも、最も華やかな存在と言っても過言ではないのが、座席のモケットです。織物の文化は古来から世界中で培われてきた文化であり、鉄道車両においても戦前の車両から令和に至るまで、座席にはこだわりが詰まっています。そんな座席モケットを、何回かに分けてご紹介していきたいと思います。

第1回のテーマは、「柄」

柄、模様。ただ色が付いた繊維ではなく、織り方や糸の色で本当にたくさんの模様が存在します。なかなか間近でじっくりと見る機会がない、通勤電車の座席の柄。今回はその中から10選ご紹介します。その華やかさをぜひお楽しみください。

東武50050系

東武50050系 座席モケット

青紫色中心ですが、多くのトーンが折り重なって構成されています。模様自体は立方体が浮かんでくるようなアイソメ柄となっており、都市部を走る車両らしい近代的な印象に仕上がっています。元々はエメラルドグリーンのモケットだった同車ですが、後年この柄に変更された経緯があります。

相鉄8000系

相鉄8000系 座席モケット

こちらは残念ながら消えゆく座席です。車内を一度リニューアルされた際に誕生した座席で、とにかく鮮やかなで強さのある紅色の座席モケットです。その柄はランダムな直線で構成され、三角形が複雑に交錯しているかのような模様です。大体15~20cm程度で同じ柄が繰り返しているのが分かります。

東京モノレール10000形

東京モノレール10000形 座席モケット

日本の玄関、羽田空港とのアクセスにふさわしいおもてなしの模様。この模様は青海波と呼ばれるもので、雅楽の舞曲が名前の由来だといわれています。とても穏やかでやさしい生地で、比較的大きな柄にも関わらずとても落ち着きがあります。座布団がシンプルな青なのもいい感じです。

西武30000系 優先席

西武30000系 優先席 座席モケット

ここでちょっと違ったパターンの柄をご紹介。ベースは鮮やかなオレンジ色にドットのような柄が並んでいる記事ですが、ゆずりあいの想いを描いたのか、連続するラインでハートが描かれています。このハートは着席区分の役割も果たしています。機能性を持った柄は昭和末期ごろから色々な鉄道車両で見られるようになりました。

近鉄6400系

近鉄6400系 座席モケット

6400系の例ですが、この形式に限らず近鉄通勤型に急速に展開されている最新のデザインです。過去の近鉄からは想像もつかない、モノトーン2色の座席。じっくり見ると実はしっかりと模様がはいっており、その色の違いで2つの異なる表情を表しています。

東急6000系

東急6000系 座席モケット

これ凄いと思いませんか?初めて見たときは何度見返したか…。とにかく斬新で大きな柄が入っており、色も鮮やかな暖色系を組み合わせ、油彩のグラデーションのような色の変化がそれぞれの模様の中に折り重なっています。大胆なのに成り立っている、現代アートの色彩構成の作品のようなデザインです。

京阪13000系

京阪13000系 座席モケット

風流の今様というテーマを掲げて大変化を遂げた京阪電車。その13000系は座席モケット界に新風を起こしました。美しい波紋を描いた柄は、着席区分を無視して座席全体に穏やかに流れます。背中が墨色で落ち着きと都市間、座布団は緑色で京都らしさが醸し出されています。

泉北7000系

泉北7000系 座席モケット

非常に細かな繊維を使用しており、溶けるようなやさしい肌触りのモケットです。柄もその柔らかさを表しているかのように、穏やかな濃淡が入っています。模様自体はとても複雑でランダムな柄の集まりで、50cm程度での繰り返しの柄になっているのがわかります。

名鉄2200系

名鉄2200系 座席モケット

これはまた奇抜ですごい柄だと思いませんか?濃淡4色の青色の隙間から見えるコーラルレッドの鮮やかなライン。紫のグラデーションがかかっており、非常に複雑で大胆な図柄です。色の世界の面白いのは、一見して相性が反するような柄の組み合わせでも、結果美しさが生まれる点だと、名鉄を見ていると感じさせられます。

小田急1000形

小田急1000形 座席モケット

ラストは小田急1000形のリニューアル車。ものすごく穏やかで深みのあるエメラルド・ターコイズの色調は、アクセントで黄緑色が入っています。背摺りは縦方向に長い四角形、座布団は横に流れるストライプで、水族館の水槽を見ているような鮮やかさがあります。とても美しいモケットです。

終わりに

今回は柄に着目して10種類ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

着目いただきたいのは、「色の組み合わせ方」ですね。同系色に限らず様々な色の組み合わせで成り立っているのがわかります。アクセントの使い方やグラデーションの活かし方など、美術領域の色彩構成のお手本にもなります。比較的現代の模様ばかり集めましたが多種多様。ぜひみなさんも電車に乗られたら、座席の模様を楽しんでいただけたら嬉しく思います。

 

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