車内のデザインは変化を重ねている話
登場当初から命を全うするまで、一度も車内デザインが変化しない車両というのは実はほとんどありません。一般的に、メンテナンスの度に可能な改善が図られたり、法令が変わって設備に変化が及び、引退を迎えます。今回もそんな経緯を今は見ることができない車内デザインをいくつかかいつまんでご紹介します。記録の有意義さを噛みしめながら、懐かしい車内を楽しんでいただけましたらと思います。
ちなみに今回のトップ画像は、題して「情報が多すぎる弥彦線115系500番台の乗務員室背面」。謎の箱やらフレームやら、とにかく1枚の写真に色々なアイテムが入り混じっています。よく見ると傘までありますね…。これも現在は見ることができない車両です。
今はもう見られない車内デザイン8選
JR西日本201系 未更新車
現在もJR西日本では、大和路線などに201系が活躍していますが、いずれも大規模なリニューアル工事を受けた車両で、このオリジナル内装は全国どこにも見ることができなくなりました。懐かしい2色のモケットとベージュの化粧板で、103系に比べてとっても明るい内装。袖仕切りは内側は木目、外側は花柄のような模様が入っているのが特徴です。こののち青色のモケットに張り替えられ、その後リニューアルされ消滅しました。
西武3000系
続いては西武3000系。3ドアの通勤型で、ワンマン化などを受けることなく引退した車両。この車両のポイントは、「ほぼ登場時の姿のままで引退した」こと。大規模なリニューアルは受けず、ベージュの化粧板にグレーの床、茶色いモケットを維持していました。袖仕切りもパイプのみ。通勤型としての機能性を最優先とした構成です。ほとんどの車両が廃車された中、大規模な改装を行われた車両が、近江鉄道で活躍しているという嬉しい話もあります。
Osaka Metro 66系 初期車・未更新車(登場時)
今はリニューアルが進行している大阪市営地下鉄、現Osaka Metro堺筋線の66系電車ですが、登場時はなぜか座席モケットと床の中心がローズ色で登場。他の路線はオレンジ色の中、堺筋線の印象である茶色は用いず上品なローズピンクを採用しました。のちに座席モケット交換で、茶色いモケットへhん港されています。阪急線内でも一際明るい内装で好評だったように記憶しています。私も好きな内装でしたが、現在は見ることができません。
京成3300形
おそらく登場時から大きなカラーリングの変化はないまま終焉を迎えたのではと思われる、京成らしい車内が特徴の3300形。関西では見られない、濃いクリーム色の化粧板が大変明るい印象を与える反面、渋い赤色のモケットとグリーンの床が対照的でした。ドアは無塗装ステンレス、天井には扇風機がぶら下がっています。全体的には非常に整った、継ぎ目の少ない美しい内装でした。
JR東海 キハ48形
国鉄時代に誕生し全国に引き継がれたキハ40形列はその後各社の個性が反映されて変化を遂げました。JR東海のキハ48形は青色のモケットを最後まで貫き、全体的に寒色系の内装となっていました。この車両はデッキのないタイプの車両で、車端部は混雑対策でロングシートとなっていますが、国鉄お馴染みのボックスシートが壮観。化粧板はアイボリー系で、一部には灰皿を撤去した後が残っていました。冷房装置が天井部中央にあるのがいいですね。
東武50050系 5扉車
京阪5000系の5扉運用撤退が大きく騒がれた令和2年末でしたが、その上旬にはひっそりと関東から5扉車が消滅しました。東武伊勢崎線と日比谷線を直通する各停用の車両で、窓が戸袋式で3人掛け座席が並ぶ違和感の強い車内が特徴でした。東武らしいパイプ袖仕切りが残る座席は茶色系モケットを採用し、貫通ドアの窓は大型化、ドア上にはLED案内装置も追加されました。現在は3ドアへ魔改造され、東武鉄道の末端部でワンマン運用に供されています。
大井川鉄道3000系
元京阪特急3000系テレビカーは、廃車後は富山地鉄とここ大井川鉄道へ譲渡されました。覆いが他鉄道の車両は外装含め原形をよくとどめており、絹目模様の化粧板、茶色系の床、模様の入った妻面、1人掛け単独の補助いすなど懐かしい設備が並びます。座席モケットは晩年張り替えられて淡い茶色系となっていました。また車端部に飲料の販売機があるのも大井川鉄道らしさを感じます。惜しまれつつも引退となりました。
一畑3000系
最後は島根県は一畑電車で活躍していた、元南海ズームカーの3000系。ロングシートは南海時代にロングシートで新造された車両と改造車がいるようですが、旧型南海らしさの詰まった謎の袖仕切りパイプ形状や、窓上それぞれプラス天井部1列の3列蛍光等など、大変個性的でカッコいい車両ですね。化粧板は木目。床はワンマン時に改装されたのか濃淡ベージュのツートンでした。残念ながら残念ながら現在は引退しており、この袖仕切りも大井川鉄道を残すのみとなっています。
前回の特集はこちら
第1回目の特集は以下の記事をご覧ください。半年前のものになります。
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