はじめに
京都市営地下鉄、烏丸線の開業時から運行されている車両が10系です。誕生は1981年。すでに40年以上が経過しており、初期車を中心に廃車も始まっている状況です。
この10系車両は、1981年のほか、1988年、1990年、1993年、そして1997年に増備がなされています。この間に、車内についても時代に合わせたアップデートが実施されています。
今回はこの烏丸線10系の大きな形態変化について、2020~2023年に撮影した写真を用いていくらかご紹介したいと思います。細部までのご紹介とはなりませんがご了承ください。
烏丸線10系インテリア進化の系譜
1981年竣工車両~(1・2次車)
こちらが1・2次車の車内です。細かいステッカー類や優先座席回りなどをのぞいて、原形に近いインテリアを保っています。蛍光灯が残っているため落ち着いた雰囲気が漂っています。
この世代の特徴は大きく3つあります。
ひとつは乗務員室の窓がとても小さいことです。また、中央下部にルーバーが設置されています。もうひとつは天井部で、エアコン吹出口はラインフローを採用していないことです。
また、固定窓が採用されている関係で、妻面の窓が2段窓になっているのも大きな特徴です。貫通ドアの窓は妻窓と同じサイズのものが採用されています。
1988年、6連化増結用車両
1988年には6両編成に増結するための中間車が増備されました。増結用車両は基本的に1・2次車に合わせたインテリアデザインで、一見すると同一に見えますが、たとえば天井を見るとエアコン吹出口がラインフローになって近代化していることがわかります。側窓も開閉可能になりました。
貫通路に目をやると、側窓が開閉可能になった関係で、妻窓がドアの両側とも1枚ガラスに変更されているのがわかります。隣につながっている1次車との形態差がよくわかります。
1988年竣工車両~(3次車)
こちらが編成単位で製造された3次車の車内です。外観は前面形状が大きく変わったことや、側窓に丸みがあること、方向幕が設置されたことなどが特徴です。
車内については、近年LED照明化されているため印象が異なって見えますが、基本的な造形は1・2次車を踏襲しています。1・2次車に対する増結用車両と同様、天井を見るとエアコンのラインフロー化がひとつの大きな変化点です。また、側窓が開閉可能になっています。
そのほか先述の通り後年LED照明への換装が行われているほか、ドア上にLCDディスプレイによる案内表示器の設置などが行われ、より近代的な設備に進化しています。
また、貫通ドアの窓ガラスが下方へ大きく拡大されたことにより、一気に印象が近代的になりました。貫通ドア自体も横幅が若干拡大されているように見えます。
乗務員室背面も大きな変化点です。点検フタの数が減り、ルーバーも廃止されたため非常にすっきりとした印象に仕上がりました。また、運転台の後ろの窓が大きく拡大されています。非常通報装置も設置されています。
1990年竣工車両~(4・5次車)
こちらは4次車以降の車内です。ぱっと見は3次車に似ていますが、よく見ると大きな変化点が1つだけあります。
それが座席の袖仕切りで、袖仕切りの上部に立ち客との干渉を避けるための横桟が1本追加されたのが大きなポイントです。
1997年竣工車両~(6次車)
1997年に製造された最後の増備車では、ドア上に最初からLED車内案内装置が設置されている点や、車いすスペースなどの数に相違があります。
現在は他の世代車両にもLCD車内案内装置が設置され、この世代もLCD化やLED照明化が実施されたことによって見分けは非常に難しくなっています。
終わりに
パッと見では同じ車両に見えるインテリアも、製造年次ごとにさまざまな理由によるアップデート・マイナーチェンジが行われることは他の車両でもよく見られることです。今回は烏丸線10系をご覧いただきましたがいかがでしたでしょうか?
20系の増備によって初期の車両を見かける機会は順次減りつつあります。ぜひ烏丸線にご乗車の際には、車内の違いを探してみてください。
その他
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