【色のはなし】地下鉄の路線カラー

その他

はじめに

複数の路線を保有する鉄道会社では、路線図や駅の案内サイン上で、色を用いた路線の区別をしているケースがほとんどです。初期のころは代表的な色相(赤・青・緑など)からスタートしている印象ですが、徐々に地域柄であったり、ユニバーサルデザインへの配慮であったりと色々な理由やしがらみと交錯しながら設定・改善が繰り返されてきました。

今回はその中で、1社における路線数が多いことでおなじみ「地下鉄」に特化し、全国の地下鉄路線の色を簡単にまとめてみました。

路線色の一覧がこちら

この図においては、路線色の厳密な色(たとえばカラーコードであったり、マンセル値であったり)といったところまでは再現しておりません。おおよその色合いとしてご覧いただけましたらと思います。

こうやってみるとカラフルですね。ぜひとも着目してほしいことを右側欄外に記しました。

圧倒的青緑採用率

特に2~3路線しか保有しない社局を見ると感じることですが、「青」と「緑」を採用しているケースが非常に多いことがわかります。察するに、「自然の色に近い」からかと思っています。人が優しさや癒しなどと結びつけやすい、ナチュラルな色合いで、どうしても地域性と絡めやすいのかなと。ただ、どちらも寒色系なのでパッと見での差異が小さく、ユニバーサル観点からみると若干の課題を感じます。(色に弱い方の見え方は、同系色=ダメではないので、一概には言えない難しい問題です)横浜市営地下鉄の「ブルーライン」「グリーンライン」というネーミングは究極ですが(笑)

それにひっぱられて、3路線目を保有する社局は札幌と福岡の2局が存在しますが、どちらも「青」「緑」「オレンジ」なんですよね。面白い結果です。

ユニークな路線色

ユニーク、つまり「他と被らない」色の路線はあるのでしょうか?ありました。

東京メトロの日比谷線で採用されている「グレー」ですね。これは他局に類似した色が見られない色になっています。ついで挙げるとしたら、OsakaMetro長堀鶴見緑地線のほぼ黄色などもユニークでしょうか?(やはり可読性に課題を感じますが)鶴見緑地線開業当初はたしかもっと黄緑だった気もするのですが…中央線に配慮して黄色に寄せたのでしょうか。

余談…路線名でみると

路線の名称自体の被りを見ると、やはり「東西線」と「南北線」があげられます。数えてみると、東西線が4社局、南北線が3社局で東西線の勝利です。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

東京メトロと都営が混在する東京都などが苦しさが伝わってくることですが、正直「そんなに色の選択肢がない」というのがデザイナー目線です。いうまでもなく、色自体は何千万色と存在するものの、サインとしての機能性を目的とした場合、人間の目で識別でき、言葉でも表現できて、しかも誤認識しない色選びとなると、限られた色合いの中から選ばざるを得ないというのが現実です。さらに最近は前述のような地域性なども加味して「ストーリーを持たせた色選択」までもが必要なケースがあり、ディレクション力やデザイン力がより強く求められる時代になったと、実際にデザイナーとして働いている身として痛感します。

またいずれ、違ったテーマでデザインの分析をしてみたいと思います。それでは。

 

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