【番外】20年で4種類の車内に変化した車両【京阪9000系】

京阪9000系車内の変遷 その他

はじめに

京阪9000系
京阪9000系

京阪9000系という車両があります。この車両、今でこそ緑色の塗装を纏い、ほとんどが7両編成化され普通から急行まで活躍していますが、登場時は「特急型」として誕生した車両です。

生まれは1997年、京阪としては比較的新しいほうの車両で、VVVFインバータ制御を搭載しています。アルミボディで大きな前面ガラスの同車は、今見ても新型らしさすら感じます。

そんな9000系ですが、実は1997年に誕生してから、実に4種類の車内が誕生しています。これは製造次ごとの違いではなく、改造によって生まれている点がポイントです。なんならあまり車内が変化しないことで有名な京阪において、異端的なその車内の変遷を、写真を交えながらご紹介したいと思います。

誕生時の車内は、特急型だった

京阪9000系誕生時の車内
京阪9000系誕生時の車内

ご覧の通り、なんと「セミクロスシート配置」でした。集団離反型の固定クロスシートで、特急型でありながら3ドアで汎用性とラッシュ対応を兼ね備えた車両として誕生しました。7200系と同様、エメラルドグリーンと青紫色のジャガード織モケットで、京阪の新時代を感じさせる車両として誕生しました。

しかし、残念ながらあまり愛される存在にはなりませんでした。

特急型として見ると、8000系に比べると明らかにサービスダウンで、座席は固く、転換しないので半分は後ろ向きに走ることになり、ロングシートの人とは目があってしまいます。シートピッチも広いとは言えず、8000系の豪華な転換シートやテレビカー、3000系の2階建てに慣れた京阪好きの皆さんにとっては、どちらかといえばハズレ特急扱いされる存在になりました。

突如現れた試験改造車

そんなこんなで5年が経ったある日、特に告知もなく突如こんな車内が現れました。

京阪9005Fの試験ロングシート改造車
9005Fの試験ロングシート改造車

そう、ロングシート化されたのです!

試験的な改造で、9005編成の付随車4両に対して、当時最新鋭だった10000系電車と同じ紺色のモケットを採用しました。わずか5年でクロスシートを撤去したのです。この改造は9005編成だけにとどまり、結局その後も残りの車両は変わらずセミクロスシートで活躍をつづけました。当時、本線系統に10000系が走る機会は、早朝などのごくわずかな運用だけだったため、本線で見る紺色のシートは大変新鮮だったのを覚えています。

とうとうロングシート化へ、しかし。。。

中之島線開業とともに機運が高まり、京阪の新CIデザインが発表された前後。9000系は長らく、水色の帯を巻いて他の車両とは異なる存在であることをアピールし続けてきましたが、とうとう他の一般車と同じ塗装に変更されることに。外見上は7200系や10000系とほぼ同一になることになりました。

さて車内はというと、このタイミングでオールロングシートへと改造されることになりました。2008年から順次ロングシート化されています。それがこちら。

京阪9000系の2008年、ロングシート化された車内
2008年、ロングシート化された車内

基本的なカラースキームは製造時のものを踏襲しつつ、まさかの座席モケットがバケットシート化!3000系を意識したのでしょうか。座席の座り心地は大変深くて心地の良いものでした。。。が、風流の今様を取り入れつつ、通勤型の緑も頑張って取り込んだところ、昆虫の幼虫を連想させるような色合いになってしまい、インターネット上でも話題になりました。黒に、黄色と緑のラインというのがあまりよくないのかもしれません。大変個性的ではあるのですが…

脱、個性。そして現在へ

京阪9000系、現在の車内
現在の車内

とか言っているうちに、13000系が誕生し、黒ベースに優しい波紋柄とオレンジのアクセントが入った新しいデザインが生まれました。ほどなく、9000系も順次この座席モケットへと張り替えられました。バケット構造はそのままなので、どちらかと言えば13000系に近い雰囲気に仕上がっています。車内灯もLEDになり、明るく落ち着きのある車内です。これが現在の姿ですね。おそらく一般の方からすれば、7000系~10000系まで、座席の凹凸以外は同じに見えることでしょう。

いかがでしたでしょうか?1997年から4種類の車内が改造により誕生した、激動の人生?を過ごしているのがこの9000系なのです。現在は4編成が7両編成化されており、一層特急型の面影が薄れています。

おまけ1:登場時から変わらない座席が存在する件

京阪9000系の一人掛けシート
一人掛けシート、登場当初の姿

こちらの一人がけシート。京阪名物で有名な、運転室直後に見られるシートですね。ここだけは登場当初から今に至るまでずっとロングシートです。しかも、背擦りと座布団の間にヒータ部が露出している構造を、現在もこの1席分だけは保ち続けています(他のシートは2008年のロングシート化時に隙間が見えなくなっている)。登場から24年間、変わらない座席をぜひお楽しみください。

おまけ2:短期間で外された固定クロスシートの行方

前述のように、わずか11年~程度で外されてしまった固定クロスシート。

実は京阪からは早々に消滅したものの、シートは全く異なる地で第2の人生を送っているのです。

伊賀鉄道200系
伊賀鉄道200系
伊賀鉄道200系の元京阪クロスシート
その車内。モケットはオレンジ色だが、形は紛れもない京阪!

そう、伊賀鉄道200系です。東急1000系を譲り受けて運転されているステンレス車ですが、その車内は忍者の里にふさわしい観光列車に改造されており、その際、一部の座席をクロスシート化。その際抜擢されたのが、元京阪9000系の固定クロスシートなのです。

現在はオレンジ色のモケットに貼り替わっていますが、京阪時代同様、先頭方向を向いて固定されています。ただし片側だけのクロスシートなので、特にラッシュ時の不満になるほどでもなく、むしろ観光列車としては当たりの座席として扱われるようになりました。京阪時代に比べると、今のほうが幸せなのかもしれません。

終わりに

京阪に限らず、固定クロスシートというものは物議を醸し勝ちで、やはり進行方向に向いて座れないというのは好ましく受け入れられにくい印象があります。とはいえ、少しでも優等列車のサービスを向上したいという思いもあり、クロスシートへのチャレンジは常に各社で試みられているように思います。今はやりのライナーなどがその好例ですね。

もし、京阪9000系が令和の時代に同じコンセプトで誕生していたら、デュアルシートを採用していたかもしれません。そんな想像に思いを馳せながら、ロングシートに落ち着いた9000系の末長い活躍を祈りたいと覆います。

 

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